はだしのゲンを家で読むと
先日図書館で「はだしのゲン」を借りてきて読んだ話を書きました。
育児猫が読書するときには、たいてい子供達も読書しています。
「はだしのゲン」の時もそうでした。
ただ全10巻ありますので、子供たちが読書をやめても、まだ育児猫は読み続けていました。
まぁここで読むのをやめれたらいいわけですが、「せめてこの巻が終わるまで」とか「いや、この子がどうなるのかわかるまで」みたいな感じで、なかなかやめられません。
そうすると、子供たちもお母さんが読んでいる本が気になってしまい、後ろからのぞき込んできます。
しかもチラッとみたら、文章だらけではなく、漫画本。
僕にもわかるんじゃないかしら?と思ったのでしょう。
3人とも、肩越しに必死に読もうとしてきました。
子供に読ませるつもりはなかった
育児猫家の子供たちは、全員怖がりな方だと思います。
テレビを見せていないせいで、仮面ライダーやウルトラマンのような戦う話に慣れていませんし、ドラえもんのジャイアンでも怖がることがあります。
長男はさすがにドラえもん位なら大丈夫になってきましたし、小説では人が生き死にするような作品でも読めるようになってきました。
それでも戦争の話をして聞かせたときには(多分長男が一年生位のころ)、青ざめてガクガク震えたくらい、想像力が豊かで怖がりな長男。
「はだしのゲン」を読ませるなんて、つゆほども考えていませんでした。
私の肩越しに「はだしのゲン」を読もうとする子供たちに、育児猫は
「これは戦争のお話です」
「日本で実際に起きたお話だよ」
「原爆っていうすごく怖い爆弾が落ちてきて、たくさんの人がすごく痛い思いをして死んでしまったお話が書いてあるよ」
「死んだ人、全身にひどい火傷を負った人がたくさん出てくるよ」
「すっごく怖いと思うよ」
と話しました。
すると次男と長女は別の本を読み始めました。
でも長男だけは育児猫から離れません。
やはり「はだしのゲン」が気になるようです。
ですから「読みたいなら、一巻からちゃんと読みなさい。怖いけれどすごく大事なことが書いてある本だから、止めはしないよ」と伝えました。
その時点で育児猫は5巻目に突入していましたし、自分が読んでいる本を横から読まれるのは、なんとも落ち着かないものですからね。
たぶん長男も諦めるだろうと思っていたら、なんと長男は1巻から読み始めたのです。
長男も「はだしのゲン」を読破
途中でやめるだろう(お父さんたちが焼け死んだり、たくさんの人がドロドロになったりするシーンで)という育児猫の予想に反して、長男は最後まで読みました。
読書スピードはかなり速い長男ですが、「はだしのゲン」に関しては、かなりゆっくり読み進めていました。
おそらくあまりの衝撃的な内容に疲れるからなのだと思います。
1日に1~3巻ずつ読み進めていました。
読み始めた最初の日の就寝後、久しぶりに午後10時くらいに寝室から
「眠れない」と言いながら、長男がリビングに降りてきました。
育児猫家の子供たちは、午後7時に寝て、朝までぐっすりが基本なのです。
「怖いの?」と聞くと
「違うよ」と答えた長男君。
育児猫もそれ以上は言いませんでしたが、やはり怖かったんだと思います。
もちろん抱っこして寝室まで連れていき、一緒に眠りました。
でも翌日からはそんなこともなく、最後まで読み切ることができました。
長男の感想
普段本を読んでも、あまり感想を言いたがらない長男君。
でもせっかく「はだしのゲン」を読んだのだから、少し二人で話し合ってみました。
母 :「お母さんはゲンのお母さんの気持ちになって読んだよ」
長男:「僕はゲンだね」
「そうだろうねぇ。お母さんも最初に読んだ時はそうだったよ」
「そうだったんだ」
「怖くなかった?」
「ちょっと怖かったけれど、どっちかっていうと悲しかった」
「一番悲しかったことは?」
「・・・選べない」
「んじゃあ、一番かわいそうだった人は?」
「・・・夏江姉ちゃん」
「確かにかわいそうだったねぇ」
夏江姉ちゃんとは、原爆が投下される以前は踊りの名取になることが夢だった女の子です。
原爆の光を浴びて顔にひどい火傷を負い、将来を悲観して自殺しようとするのをゲンに止められます。
ゲンから生きる希望をもらって、なんとか生き抜こうとする夏江ですが、顔に大やけどを負った女の子に対する世間は厳しく、原爆症への偏見も相まって辛い思いをします。
そこで再び死のうとするところで、ゲンと再会。
今度は勝子という同じ顔に傷を持つ少女とも出会い、一緒に洋裁店を開く夢を持ちます。
必死で勉強し、洋服を作って仲間が売ってお金を貯めます。
なんとか洋裁店が開けそうなところで、夏江は盲腸炎を患います。
すぐに退院できるはずでしたが、原爆症のせいで傷がふさがりません。
何度も何度も繰り返される手術。
麻酔も効かなくなり、壮絶な痛みを伴う手術を繰り返しながら、夏江は死を覚悟します。
そこで自分のための骨壺を陶芸家の家に通って、必死で完成させます。
死後の世界にこそ、安らぎを求めたのでしょう。
素晴らしい絵柄の骨壺を完成させます。
ところがこの骨壺を見たゲンは、わざと割ってしまいます。
ゲンは「もう一度焼こう」と夏江が発奮することを期待するのですが、結局失意のうちに夏江は他界します。
長男がかわいそうだと思う登場人物に女の子を選んだのは、意外でした。
なんとなく男の子は男の子に感情移入しやすいかなと考えていたのですが、
「女の子が顔に傷を負うこと」は自分が思っている以上に大変なことなのだと思う。と話してくれました。
最後に
「この本で一番大事なことは何だと思う?」と聞くと
「戦争しちゃいけないってこと」と答えてくれました。
そこは子どもの時の育児猫と同じだね。
はだしのゲンを親子で語り合う
その後もいろいろなことを語り合いました。
日本に強制的に連れてこられた朝鮮の人たちのこと。
ゲンのお父さんもお母さんも体罰をすること。
アメリカは「自分たちが正義」だと思っていたこと。
日本はドイツやイタリアと同じ、悪者側だったこと。
核兵器の恐ろしさは、その時だけで終わりではなく、何年も被爆者を恐怖に縛り付けること。
などなど、話すべきことはたくさんありました。
長男の心に「はだしのゲン」で学んだことが、少しでも長く、少しでも多く残るといいなぁ。
そして、いま。
ロシアが侵略者だと呼ばれているけれど、だからって西側と呼ばれる国々がなんでもやっていいわけじゃないよね。
核兵器をチラつかせて相手を威嚇するなんて、絶対許せないことだね。
じゃあどうしたらいいのだろう。
人類は賢くなったのだろうか・・・?
少なくとも同じ過ちを繰り返さないように、今たくさんの国が協力しているよ。
という話もしました。
もし戦争について教えてあげたい子供さんがいるなら「はだしのゲン」をぜひ読ませてあげてほしいです。
怖い中にも、愛と希望が読み取れる不朽の名作だと思います。
それでは今日はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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