ほろ苦いは難しい・・・
今週のお題は「ほろ苦い思い出」ですね。
これはなかなかに難しい。
ほろ苦いの意味は
①少し苦い味がすること
②思い出すと少し胸が痛むこと
の2つですが、ほとんどの方は②の思い出を思い浮かべることでしょう。
ほろ苦い初恋の思い出・・・的な。
しかし育児猫の初恋の思い出は「ほろ苦い」というよりは「激烈にすっぱい」という感じ。
割と何でも白黒つけたがるタイプなので、育児猫の思い出にはほとんど「ほろ」がつかず、すっごく苦かったり酸っぱかったりするのですよ。
そこを何とか絞り出してみよう
「ほろ苦い思い出」とはつまり微妙な空気のまま、なんだか中途半端な感じで終わってしまった思い出・・・ということでしょう。
しかもそこに後悔が入り混じる感じかな。
ちょっと違うかもしれないんですけど、育児猫の父との最後の会話を思い出したので、書いておこうと思います。
育児猫の父は60歳の誕生日に他界しました。
父の最期の言葉は↓の記事でも書きましたが
「弟を頼む」でした。
ただそれは本当に今際の言葉。
病院のベッドの上でのことです。
そうではなくて元気だった父との最後の会話について今日は書きたいと思います。
うまかっちゃんを作っていた
その日育児猫は実家で「うまかっちゃん」を作っていました。
「うまかっちゃん」は九州人なら誰でも知ってる、インスタントラーメン。
麺を茹でるのとは別にスープを作って、丼で合わせてから上に中華鍋でふんわり炒めた卵をのせ、ねぎを散らして完成です。
インスタントとはいえ、少々こだわって作っておりました。
出来上がったところに、父が起きてきました。
父はそのころ、毎日のように深酒していました。
父にとって嫌なことが続いて、現実逃避していたのでしょう。
もちろん体もむしばまれていたと思います。
目は黄色く、酒臭く、育児猫は父と話すのがすごく嫌でした。
父は「いいにおいがするなぁ~。○○ちゃんお父さんの分も作ってくれない?」と言ったのです。
育児猫はぶつぶつ文句を言いました。
そして・・・多分作らなかったんだと思います。
正直思い出せないのです。
文句を言ったのははっきり覚えているんですけどねぇ。
作ってあげたような気もするけど、作らなかったような気もする。
そしてこのときのくだらないやり取りが、元気な父との最後の会話となりました。
その日の夜・・・
そしてその日の夜、育児猫のバイト先に実家から電話がありました。
「父が倒れた」というものでした。
慌てて帰ると父はまだ意識はありましたが、目が見えておらず、体を思うように動かせなくなっていました。
でも口は達者で、私が帰ると「○○ちゃんか。帰ってきてくれてありがとう」と言いました。
兄と姉も帰ってきて、みんなで救急車を呼ぼうとすると
「それだけはやめてくれ」と父は泣きました。
父はプライドの高い人でしたから、立てない姿を近所の人にさらすのが、死ぬほど嫌だったのでしょう。
我々は非常に困りましたが、結局隣の人にお願いして車で病院に連れて行ってもらいました。
育児猫は免許を持っていませんでしたし、兄と姉は飲酒していたのです。
病院では「まぁ飲みすぎですね」という感じの軽い対応でした。
深夜でしたし、当直の先生も適当でした。
母と私だけ付き添い、姉と兄はいったん家に帰りました。
その30分後、父は突然帰らぬ人となりました。
すごく他人事な気分で、電気ショックで跳ね返る父の体を眺めていたのを覚えています。
通夜や葬式も思い出せない
実は育児猫はその後の記憶がほとんど残っていません。
通夜と葬儀をした場所は覚えていますが、
誰が来たのか、どんな会話をしたのかを思い出せません。
葬儀の翌日隣の家でみんなでうどんを食べることになって、育児猫だけ断って心配されたという、どうでもいいエピソードだけは鮮明に思い出せます。
それで何度も父との「うまかっちゃんエピソード」を思い出そうとしたのですが、あまりにも何度も思い返そうとしたためか、何が本当だったかよくわからなくなってしまいました。
3分で済むことだったんだから、気分よく「いいよ」と作ってあげられていたら、こんなことを何度も思い返さなくても良かったんでしょうけどねぇ。
ぶつぶつ文句を言いながら作ってあげて、父が喜んでくれたような気もします。
でもそれは育児猫の罪悪感が作り出した虚構の思い出で、実際には冷たくあしらって作らなかったような気もします。
「ほろ苦い」というよりも「ぼんやり苦い」思い出の話になってしまいました。
父も悪気があって、突然亡くなったわけではありませんが、育児猫だって突然死する可能性はあるわけです。
子どもの心は大なり小なり傷つくことでしょう。
その痛みを少しでも和らげられるように、終活はしておかなくてはいけないなぁと思う今日この頃です。
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では今日はここまで。
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今週のお題「ほろ苦い思い出」